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白白庵 協力企画 HRD FINE ART 展覧会 | PAKUPAKUAN Cooperation planning "HRD FINE ART" exhibition

 

HRD FINE ART 展覧会
松の樹 / 犀の角
寺島みどり + 津田友子


HRD FINE ART presents :
PINE TREE / RHINOCEROS HORN
MIDORI TERASHIMA + TOMOKO TSUDA





会 場 : HRDファインアート(京都市上京区上御霊竪町494-1)
会 期 : 2022年 3月24日(木)~4月9日(土)
時 間 : 木曜日 11:00~15:00 / 金・土・日曜日 11:00~19:00
休 廊 : 月~水曜日(事前のアポイントにより観覧可能です)


Venue : HRD Fine Art (494-1 Kamigoryo-tatemachi, Kamigyo-ku, Kyoto)
Date : March 24 – April 9, 2022
Hours : Thu 11:00am - 3:00pm / Fri, Sat, Sun 11:00am - 7:00pm
Closed on Monday to Wednesday (open by appointment)



HRD FINE ART website
http://www.hrdfineart.com/


 

津田友子 "蜘蛛の糸 茶わん 明珠在掌(みょうじゅたなごころにあり)" | 陶 | 口径10cm 高さ7.4cm | 2022年

寺島みどり "ソラリス" | 油彩/キャンバス | 32x41cm | 2020年

津田友子 "結界の記憶 ソラリスより" | 陶 | 8x22.5x8cm | 2022年

寺島みどり "心の弱い人のもの" | 油彩/キャンバス | 72.2x91cm | 2018年

 

【展覧会概要】

 HRD ファインアートでは、東京・青山の白白庵との共同企画により、ペインターの寺島みどりと陶芸家の津田友子による二人展「松の樹/犀の角」を開催します。

 寺島みどりは 1972 年京都生まれ。京都市立芸術大学大学院修了。油彩による抽象表現を一貫して追究し、色彩と筆触により絵画画面の中に空間を生み出す試みに取り組み続けています。大画面の作品を得意とし、インスタレーションやワークショップなど幅広い活動も展開しています。

 津田友子は 1975 年京都生まれ。楽焼の窯元・吉村楽入に師事し、また京都府立陶工高等技術専門校、京都市立工業試験場陶磁器コース本科などで研鑽を積みました。現在は京都・花園に自らの窯「未央窯」を開き、楽茶盌にとどまらない多彩な作陶・表現に取り組み、全国各地で作品を発表しています。

 本展は、それぞれが普段の制作の延長線上で生み出した陶と絵画を中心にしつつ、寺島は津田の陶の作品を、津田は寺島の絵画作品をインスピレーションとして制作した作品も展示されます。また、制作の指針や生き方の根本に関わる言葉を互いに提示し、その言葉から着想した作品を制作するという、言葉を媒介とした交感/ダイアローグの試みも行われます。展覧会タイトルの「松の樹/犀の角」は、津田が提示した「松樹千年の翠」という禅語と、寺島が提示した「犀の角のようにただ独り歩め」という仏教書の言葉から採られています。

 陶芸と絵画という異なる領域に身を置きながら、自らの制作や探究に妥協なく邁進する同世代・同郷の二人の女性アーティスト。その個性と表現がぶつかり合い、響き合う様子を、是非ご高覧ください。


 本展は通常と異なり短い会期のため、会期中日曜日もオープンします。会期中の作家在廊日については、ギャラリーウェブサイトおよびSNSにて情報をご確認ください。



HRD Fine Art is pleased to announce a two-man exhibition titled “Pine Tree / Rhinoceros Horn,” showcasing paintings of Midori Terashima and works of pottery of Tomoko Tsuda.
This exhibition is organized in collaboration with Pakupakuan, a gallery located in Aoyama, Tokyo.

Midori Terashima was born in Kyoto in 1972. She earned her MFA in painting at Kyoto City Unversity of Arts.
Mainly working in oil painting, Terashima’s primary focus is abstract expression, always in search of the ways to create or visualize space on the surface of canvas, using a wide range of colors and various brushstrokes.
Well known for her large-scale painting, Terashima has also been active in creating installation work as well as hosting painting workshops.

Tomoko Tsuda was born in Kyoto in 1975.She apprenticed herself to the famed Raku ware pottery master Yoshimura Rakunyu, and also studied at Kyoto Prefectural Pottery Vocational Training School and the Ceramics Course at Kyoto Municipal Institute of Industrial Research.
Currently working in her own pottery studio named “Biou Kiln,” located in Hanazono in Kyoto, Tsuda is creating a wide variety of ceramic wares, practicing different techniques not limited to her trademark, popular Raku tea bowls, and actively exhibiting her works nationwide.

While this exhibition’s main feature will be the two artists’ mainstay works, painting and pottery respectively, that are born from their everyday creation, there will also be some works resulting from the inspiration received from each other’s work.
Words also play some part, where the two artists present their own favorite or inspiring maxims or mottos, and each artist creates artworks based on the counterpart’s chosen words, like a kind of dialogue through words and images.
The exhibition title, “Pine Tree / Rhinoceros Horn” is taken from this dialogue: Tomoko Tsuda chose “Green of pine tree that lasts for one thousand years,” a Zen maxim; and Midori Terashima chose “Wander alone like a rhinoceros horn,” a phrase from the Buddhist scripture “Sutta Nipata.”

Terashima and Tsuda not only hail from the same city, Kyoto, are of the same generation, but they also share uncompromising, sincere attitude toward creation and exploration in art, though working in starkly different fields, namely painting and pottery.
This exhibition aims to stage the clash of the two strong creative personalities, while also highlighting the harmonious reverberation between them.


This exhibition runs for a shorter period than other exhibitions, so we will specially open the gallery on Sundays too. Please visit our website or social media outlets for information on the scheduled presence of the artists in the gallery.

 

津田友子 "蜘蛛の糸 茶わん 魂迎鳥(たまむかえどり)" | 陶 | 口径13cm 高さ5.5cm | 2022年

寺島みどり "壁紙の花" | 油彩/キャンバス | 55.5x34.5cm | 2022年

※イメージ画像及び作品画像をクリックで拡大詳細ご覧頂けます。
 

【アーティストからのメッセージ】

昨年の大阪でのある個展。
寺島みどりさんの絵画の前に立ち、足を止めしばらく眺めていた。
絵から放たれる温度がある事に気づく。
胎内、生命、水……様々なモノが見えてわたしはその暖かさを感じ引き込まれていった。
今展は、互いの作品にインスピレーションを感じ、制作した作品も並べます。
一つずつの絵と向き合い、込み上げる感情をカタチにしています。
津田 友子


 津田さんの作品は不思議だ。
 まるで重力を感じさせないような不思議な姿の器もあれば、優しく語りかけてくるような温かみを感じる器もある。
 私は眺めたり手に取ったりするだけではなく、それらをぜひ使いたかった。今回この展示のために楽茶盌を一つ譲ってもらい、ネットで調べたりしてお茶を点てていただいた。わからないなりに日々それを繰り返していると、私とその器の間に関係ができた。それはとても新鮮で幸福なものだった。
 今回の展示のタイトルに使ってもらった「犀の角」の言葉。その厳しい言葉に励まされないとダメな弱い心を、私はいつも自覚している。だが、その弱い心を持ったままでいたいとも考えている。狭間で揺れる私に津田さんの作品は、まだ知らない世界は確かにあるのだと教えてくれた。そのまま進んで行こうと私は思った。
寺島 みどり

 
【 作家略歴 】 Artists Biography

寺島 みどり Midori TERASHIMA

1972 京都生まれ
1998 京都市立芸術大学大学院美術研究科絵画専攻油画修了
現在、大阪在住

主な個展
1997 ギャラリー白(大阪)
2002 「Gusto Room」GUSTO HOUSE(兵庫), Gallery Den(大阪)(2003、06 も)
2004 O ギャラリーeyes(大阪)(2005、06、07 も)
2005 石田大成社 ICB カフェ(京都)
2006 「旅人の胸」neutron(京都), 「旧作展」文椿ビルヂング・ギャラリー(京都)
2007 「jesus fever」deem(兵庫), 「私たちが見つけたもの」Gallery Den 58(大阪)
2008 STREET GALLERY(兵庫), ギャラリー風(大阪)
2009 「見えていた風景 森」Gallery Den(大阪), 「見えていた風景 空」neutron-tokyo(東京)
    「見えていた風景 コトバ」neutron-kyoto(京都), 「見えていた風景」奈義町現代美術館(岡山)
2010 「見えていた風景 ―記憶の森―」京都芸術センター北ギャラリー(京都)(「公募・京都芸術センター2010」/審査員=河瀬直美)
    「見えていた風景 ―光―」枚方市立御殿山生涯学習美術センター(大阪)
2011 「楽園の何処か」neutron-tokyo(東京), 「Dialogue of Colors」Art Space With Artist(パジュ), 「Stranger in Paradise」Gallery Cha(ソウル)
2012 「あなたと私のこの世界」neutron-tokyo(東京), 「A WHOLE NEW WORLD」(黄金町バザール 2012)横浜・黄金町(神奈川)
2014 「ENDLESS」ギャラリーあしやシューレ(兵庫)
2016 「elusive」ギャラリーあしやシューレ(兵庫)
2018 「MIDORI TERASHIMA SOLO EXHIBITION」O'NewWall E'Juheon(ソウル)
2021 「Endless Garden」HRD ファインアート(京都), 「Traveling Dreams」Contemporary Art Gallery Zone(大阪)
    宝塚市立文化芸術センター サブギャラリー(兵庫), ギャラリー白 kuro(大阪)

主なグループ展
2003 「CAUSE ON THE SURFACE」O ギャラリーeyes(大阪)
2004 「Visual Sensation」Gallery Den(大阪)
2005 「Art Court Frontier」Art Court Gallery(大阪)(2007 も)
2007 「VOCA 展 2007」上野の森美術館(東京)
2008 「BLUE DOT ASIA 2008」ソウルアーツセンター(ソウル), 「ペインタリネス 2008」ギャラリー白(大阪)
2010 「とよた美術展 2010」豊田市美術館(愛知), 「鞍馬口美術界隈」(オープンスタジオ展)(京都)
    「富士山展」neutron-tokyo(東京)
2011 「京都アペルト 2011」(オープンスタジオ展)(京都)
2013 「アートがあれば II ─ 9 人のコレクターによる個人コレクションの場合」オペラシティ, アートギャラリー(東京)
2015 「反撃!抽象絵画」(ART OSAKA 2015 企画展)ホテルグランヴィア大阪(大阪)
2016 「ヤミ」HRD ファインアート(京都), 「Big Sensation」Gallery Den mym(京都)
2018 「ほしをみるひと」(藤原隆男 京都市立芸術大学退任記念展)」京都市立芸術大学, ギャラリー@KCUA(京都)
    「開かれ 渋谷信之+寺島みどり 二人展」2kw ギャラリー(滋賀)
2019 「PRISM 2019 vol.10」Contemporary Art Gallery Zone(大阪), 「位相の庭 寺島みどり+岸本吉弘」ギャラリーあしやシューレ(兵庫)
    「弁財天展」Contemporary Art Gallery Zone(大阪)

アーティスト・イン・レジデンス
2011 Art Space With Artist(パジュ)
2012 黄金町バザール(神奈川)

ウェブサイト
https://midorilab.amebaownd.com/


津田 友子 Tomoko TSUDA

1975 京都生まれ
1997~2003 茶陶楽焼の吉村楽入氏に師事
    京都府立陶工高等技術専門校成形科修了
    京都市立工業試験場陶磁器コース本科修了
2015 京都花園に「未央窯」を開く
現在、京都在住

主な展示・出品
2010 「IKEYAN☆巡回展」
2013 「天祭一〇八」増上寺(東京)
2015 「床の間のある暮らし」伊勢丹新宿店(東京)
    「激陶者集団へうげ十作展 ニッポニア ニッポン」まるごとにっぽん(東京)
    「お茶の水女子大主催 水無月茶会」東京国立博物館後庭応挙館(東京)(協賛出品)(2016、2018 も)
2016 「春爛麺」「黄金色の時間」「回転喫茶」日本橋三越(東京), 「一花一茶」銀座三越(東京)
    「非凡栽」「KAYARISM」「陰翳礼賛 いにしえ茶会」「ETOMONO & ENGIMONO」, 伊勢丹新宿店(東京)
    「神戸アートマルシェ 2016」神戸メリケンパークオリエンタルホテル(兵庫)(白白庵より出品)
    個展「白と赤のグラデーション」銀座三越ジャパンエディション(東京)
    「激陶者集団へうげ十作展 浅草甲乙数奇合戦」まるごとにっぽん(東京)
2017 「ねこ LOVERS」「大人のバレンタイン茶会」「五元茶会」伊勢丹新宿店(東京)
    「アートラウンジ 木漏れ日満ちる」パークホテル東京(東京), 「SAKURA MY CHILL」京急百貨店(神奈川)
    「新宿髙島屋美術画廊十周年記念 十花のしつらえ」新宿髙島屋(東京)
    「津田友子・穂高隆児 二人展」銀座三越ジャパンエディション(東京)
    「器の美・料理の美 賞味会『蛮餐会』」神戸メリケンパークホテルレストラン(神戸)(白白庵 石橋圭吾プロデュース)
    「神戸アートマルシェ 2017」神戸メリケンパークオリエンタルホテル(神戸)(白白庵より出品)
    「津田友子・神戸博喜 二人展 華気楼」白白庵(東京), 「KOGEI Art Fair Kanazawa」KUMU 金沢(石川)(白白庵より出展)
    「縁起物×新年の茶盌展」銀座三越ジャパンエディション(東京)
2018 「津田友子×G-sofa」G-sofa(京都), 個展「つぼみふくらむ」伊勢丹新宿店(東京)
    「桃花茶会」伊勢丹新宿店(東京), 「はるのよい 茶のしらべ」銀座三越リミックススタイル(東京)
    「アートラウンジ シルエットロマンス」パークホテル東京(東京)
    「今日も、明日も、カレー日和。」銀座三越 GINZA ステージ(東京), 「ナイトギャラリー 夏の宵茶会」白白庵(東京)
    「神戸アートマルシェ 2018」神戸メリケンパークオリエンタルホテル(兵庫)(白白庵より出品)
    個展「桜梅桃李」白白庵(東京)
    「KOGEI Art Fair Kanazawa 2019」KUMU 金沢(石川)(白白庵より出展)
2019 「白白庵リニューアルオープン記念企画 南青山大茶湯」白白庵(東京)
    「アートラウンジ 春のしつらえ 花の器」パークホテル東京(東京)
    「アートラウンジ 白白庵常設作品展 春待ちのしつらえ」パークホテル東京(東京)
    「アートラウンジ 夏のしつらえ「涼感百景」パークホテル東京(東京), 「夏の宵茶会」白白庵(東京)
    「神戸アートマルシェ 2019」神戸メリケンパークオリエンタルホテル(神戸)(白白庵より個展「Guardian」として出品)
    個展「鎮守の森」白白庵(東京), 「大縁起物展」白白庵(東京)
2020 「茶ノ湯コレクション二〇二〇」白白庵(東京), 個展「春來草自生」阪神梅田本店・美術画廊(大阪)
    「壺中日月長」白白庵(東京), 「大縁起物展」白白庵(東京)
2021 「しゅきしゅき!!大酒器展」白白庵(東京), 「春爛漫 百花繚乱茶会 2021」白白庵(東京)
    個展「雨滴聲」阪神梅田本店・美術画廊(大阪), 「夏の宵茶会 2021 茶室の幻影」白白庵(東京)
    個展「蜘蛛の糸」白白庵(東京)
2022 「茶ノ湯コレクション 2022」白白庵(東京)

ウェブサイト
https://www.tsudatomoko.jp/
 

【共同企画者からのメッセージ】

 縁あってここ数年で再び作品を見る機会に恵まれた寺島みどりさんは、私の主宰する白白庵の前身であり京都を拠点としていた neutron(2001~2012)においても個展を開催するなど、存在感の強い作家であった。研ぎ澄まされたナイフのように、近付く者を寄せ付けないようなオーラを当時感じたものだが、結婚と出産を経ていわゆる「母」となったことで雰囲気も丸くなり……と言い切れないのが、みどりさんの面白いところである。今なおキレキレのエッジが効いた画面に加え、柔らかくも茫洋と広がる奥行きが備わったように感じられ、作品から発せられる迫力は以前より増している。

 他方、津田友子は白白庵の代表的な作家であり、私が提唱する「JAPANESE HYBRID ART」を背負う(背負わせている)陶芸家である。楽焼の作家として特に知られるが、近年はより時代の先端の美意識を発揮するためのシリーズとしてラグジュアリーな食器やオブジェの制作も手がけ、最新作「蜘蛛の糸」では釉薬の研究の成果が発揮されている。柔らかで嫋やかと称される独特の楽焼の作品と、近作オブジェ「Guardian」で見せるプリミティブな造形、「蜘蛛の糸」で見せる幻想的なまでの鮮やかな発色は、一見すると同じ作家のものとは思えないほどの幅を持っている。

 ジェンダーレス・ボーダーレスの時代に「女性」だの「母性」だのと殊更に言うのは時代遅れ甚だしいし、そもそも二人ともその点にのみ帰結する作家ではない。むしろジェンダーレス・ボーダーレスを体現してきた作家でもあろう。ここで言う「ボーダー」は、自らが設定する境界線や限界地点のことでもある。それを設定するのは容易いが、そこから先へと越境するのは難しい。理想や目標という意味では限りなく遠くのボーダーを目指すべきだが、作家として自らに課す制約(それは例えば絵画、陶芸と言うメディアそのものも含む)としての線引きは必要な負荷として機能もする。不自由から生まれる「自由への渇望」こそ表現の源だとするならば、この二人には常に枯れることの無い渇きが存在し、だからこそ自在な変化も可能とする。

 異色の組み合わせの作家の二人展を、かねてより親交のあった原田さんに突然の無茶ぶりのような形で提案(半ば強引に)してしまった。とはいえ、この二人の作家には制作ジャンルを超えた相似性や共通項が一つや二つではなく存在すると感じた気持ちを、おそらく原田さんも共有してくれたのだろう。このような機会を実際に設けてくださったことに対し、心から感謝の気持ちを表したい。

 何より、私の大好きな作家二名による展覧会を、こんなにも自由な立場で楽しませてもらって、すみません。笑

石橋 圭吾(白白庵 代表)